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メンフィス・グリズリーズのチームリーダー

マイク・コンリーに聞いた渡邊雄太評

Movie by Takeshi Okada

ベテランプレイメイカー、コンリー

 

マイク・コンリーは、2007年のプロデビューからグリズリーズ一筋で活躍してきたベテラン・ポイントガードです。NCAAの強豪として知られるオハイオ州大出身で、2007年のNBAドラフトで1巡目4位でグリズリーズの指名を受けました。12年目となる今季まで、同じ2007年にグリズリーズ入りしたマルク・ガッソール(今年2月にトロント・ラプターズに移籍)と共にチームをけん引し、今季は3月26日現在でキャリア最高の1試合平均20.9得点を記録する活躍を見せています。

2013年にはチームを、現時点までのフランチャイズ最高成績であるウエスタンカンファレンス・ファイナル進出に導きました。2014年と16年の2度、NBAスポーツマンシップ・アワードを受賞。また、今年2月のNBAオールスター・ウイークエンドでは、スキルチャレンジに選出されています。これらの実績が示す通り、コンリーはグリズリーズの顔として全米に認められた実力者です。

2月にメンフィスを訪れた際、そのコンリーに、渡邊雄太選手に関する質問をしてみました。インタビューは2月9日、渡邊選手がキャリア最高の10得点を記録した対サンダー戦の次の試合の日です。

 

2月9日の対ニューオリンズ・ペリカンズ戦後、コンリーとシェイクハンドする渡邊選手
2月9日の対ニューオリンズ・ペリカンズ戦後、コンリーとシェイクハンドする渡邊選手

Photo by Takeshi Okada

渡邊選手の現状

 

渡邊選手は、アメリカ現地時間3月22日(日本時間同23日)の対ミネソタ・ティンバーウルブズ戦で、久方ぶりにNBAの舞台を味わいました。その前の出場機会は2月8日の対オクラホマシティー・サンダー戦で、1ヵ月以上前。8分34秒間コートに立ち1リバウンド、放ったショット2本は不成功と、目立つ数字は残せませんでしたが、ファンにとっては待望の瞬間でした[続く25日(日本時間26日)の対サンダー戦も、出場ならずもベンチ入り]。

2月のトレード期限前、それまでコンリーと共にチームの中心的存在だったマルク・ガッソールをトレードして以来、グリズリーズはチーム事情が大きく変動しました。それ以降渡邊選手は、グリズリーズの提携下部チームであるメンフィス・ハッスルで経験を積んできました。

今シーズン、ハッスルで33試合に出場した渡邊選手は、チームメイトから「ユウタは常に正しいプレイをするので一緒にやるのが楽しい」と喜ばれる存在に成長。かつ自身も14.1得点、フィールドゴール成功率43.3%、3P成功率33.3%、フリースロー成功率82.7%、7.2リバウンド、1.2ブロックといった具合に、まずまずの数字を残せています。得点とリバウンドのダブルダブルは6回達成しました。

Gリーグ公式サイトで確認すると、ブロックショットは49人の2ウェイ契約プレイヤーの中で7位、フリースロー成功率は11位、リバウンドも14位(チーム1位)。同じような環境でプレイする同業者たちの中でも、引けをとらない内容と思います。シューティングにはまだまだ課題があると渡邊選手本人も認識しているようですが、ディフェンス面で持ち味を出せていたことは、この数字から見て取れます。

渡邊選手のこの活躍は、チームのプレイオフ進出に大きく寄与したことはまちがいありません。それだけに、NBAでの出場機会がなかなかこなかったことで、じれったい思いをしているファンも多いのではないでしょうか。しかし実際、渡邊選手に対するNBAレベルの評価はどんなものなのか…。こんな思いで、コンリーに話を聞きました。

 

渡邊選手について語るコンリーの言葉には、チームメイトへの思いやりや親しみがあふれていました
渡邊選手について語るコンリーの言葉には、チームメイトへの思いやりや親しみがあふれていました

渡邊選手にもファンにも、チームにも、今は辛抱の時期

 

コンリーは、渡邊選手の特徴をよくみており、さすがはチームリーダーと感じさせるコメントをくれました。「プレイに臨む姿勢がいい」、「不平を言わずにやるべきことをこなす」、「出番がきたときにはいつでも準備ができている」、「ディフェンスも頑張る」など、開口一番、称賛の言葉が飛び出してきました。

なかなかグリズリーズの試合に帯同できず、そうできたときにもベンチに座る時間が多い渡邊選手ですが、今は辛抱すべき時期だとコンリーは言い、「必ず周囲に認められる」と太鼓判を押しています。

また会話の中には、ごく自然と長年の同僚だったマルク・ガッソールが出てきました。こちらから触れたわけではありません。ガッソールのトレードがやはり、盟友コンリーの心に響いたのであろうことを感じ、少し切ない気持ちにもなりました。バスケットボールの最高峰を舞台とした、厳しいビジネスの世界に生きるプロと言えど、やはりそこは人間が生きる場所。友情や思いやりがなければチームとして成り立たないのでしょう…。

そのような兄貴分が渡邊選手のそばについていることは、大変意味のあることだと思います。コンリーから渡邊選手への直接の助言もよくあるそうです。

 

さて、グリズリーズとハッスルの、今シーズン中残された試合日程はあとわずか。ごく自然なファン心理として、シーズン終盤戦で少しでも多くNBAでの渡邊選手を見たいというのは当然でしょう。しかし現実的には、プレイオフに臨むハッスルで渡邊選手が出場して勝ち進めば、グリズリーズでの出場機会は減る公算が高い状態です。

どのような采配が行われるかはわかりませんが、グリズリーズでのローテーション入りといったわかりやすい答えを、急いで求める必要はないのかもしれません。渡邊選手の実力は数字で十分示されているし、姿勢が高く買われていることは、コンリーやハッスルのチームメイトの言葉から明らかだからです。ここはどちらのチームであれ、見る側も辛抱しながら注目し、応援し続けることが大事なのだと思います。

 


今シーズンの残り試合

グリズリーズ(レギュラーシーズン)

3/27 vs. ゴールデンステイト・ウォリアーズ

3/30 @フェニックス・サンズ

3/31 @サンジェルス・クリッパーズ

4/03 @ポートランド・トレイルブレイザーズ

4/05 @ダラス・マーベリックス

4/07 vs. ダラス・マーベリックス

4/09 @デトロイト・ピストンズ

4/10 vs. ゴールデンステイト・ウォリアーズ

※「vs.」付きがホーム、「@」付きがアウェイ

※日付はすべてアメリカ時間  

ハッスル(プレイオフ)

3/27 ウエスタンカンファレンス1回戦 対ストックトン・キングス

3/29  ウエスタンカンファレンス・セミファイナル 対リオグランデバレー・バイパーズ

※1回戦に勝った場合のみ

※ベイパーズにも勝った場合、一戦必勝のウエスタンカンファレンス・ファイナルに進み、さらに勝ち上がれば2戦先勝のGリーグ・ファイナルを戦うことになります。

※日付はすべてアメリカ時間