#CHOSEN_ONE 渡邊雄太の4年間

ジョージ・ワシントン大時代を振り返る

PART 13 2015-16シーズン開幕

Photo courtesy of George Washington University Athletic Department

渡邊雄太選手のジョージ・ワシントン大(以下GW)2シーズン目は、様々な意味で開幕前から非常に興味深いシーズンでした。1年生時は、がむしゃらに自分のパフォーマンスとコンディションの向上・維持を求めれば、貢献につながるかもしれませんが、後輩が入って来てリーダーシップも求められるのが2年生。当時の渡邊選手はまだ、英語でのコミュニケーションも課題だったので、このシーズンで先輩としての存在感を発揮できるかどうかは、その後のGWにおけるキャリアに非常に大きな意味を持っていたと思います。

 

また、前年ウェイクフォレスト大から転校してきたタイラー・キャバナーの存在も気になるポイントでした。


 キャバナーは後の2017-18NBAシーズンにアトランタ・ホークスで、そして現在(2018-19シーズン)はユタ・ジャズとの2ウェイ契約を手にしている実力者。ロングレンジのシュート力も備えたパワーフォワードで、このシーズンからプレイできるようになるタイミングでした。渡邊選手と同じ206㎝ですが、体格はより幅を感じさせ、ペイントでのポジション争いにも強さを発揮するプレイヤーです。

キャバナーが2年間所属したウェイクフォレスト大は、ACC(アトランティックコースト・カンファレンス)の伝統的強豪で、過去にティム・ダンカン(元サンアントニオ・スパーズ)やクリス・ポール(現ヒューストン・ロケッツ)などのスターを輩出した名門。そこでキャバナーは、2年生時の31試合中22試合にスターターとして起用されていました。

2人は異なるスタイルではありましたが、同じフォワードのポジションをプレイできるので、実質的にはチーム内で互いにライバルにもなる関係です。彼らがお互いの能力をうまく引き出しあえれば、GWのチーム力は前シーズンに比べても格段に高まると思われました。

 

GWのノンカンファレンス・ゲームのスケジュールにも、注目すべきポイントがありました。11月7日のエキシビション、対ギャノン大戦から始まった2015-16シーズンの試合日程は、前シーズン同様にタフ。11月16日のシーズン3試合目には、前年アウェイで敗れた強豪バージニア大との対戦も組まれていました。

また、11月下旬には、バークレイズ・センター・クラシックというインシーズンのミニトーナメントにもエントリーしており、そこではテネシー大、シンシナティ大などの強豪との対戦機会が待っていました。チームとして明らかに「上を目指す」ためのスケジュール。NCAAトーナメント出場、そして上位進出という目標への意欲が強く伝わってきました。

そんな中で、チームからの渡邊選手に対する信頼度か明らかに前年よりも高まっているのが、初戦から感じられました。前シーズンにチーム5位の平均7.4得点を記録していた渡邊選手は、対ギャノン大のエキシビジョンにスターターで起用され、ゲームハイの15得点。このほかに6リバウンド、2アシスト、2スティールを記録して、92-47の快勝に貢献しました。パトリシオ・ガリーノ、ケビン・ラーセン、ジョー・マクドナルドの4年生トリオ、そしてキャバナーと共に、チームの柱としての存在感を示した形です。翌週、11月13日に行われた公式戦開幕戦の対ラファイェット大戦では7得点、7リバウンド、2ブロックでチームも85-76で勝利。

そしていよいよ、当時全米6位にランクされていたバージニア大との対決の日を迎えます。

 

Takeshi Shibata

O-Media/Ocean Basketball Club

 

<関連リンク>

2015-16シーズンのGW試合日程(GW公式サイト

2015-16オープニングエキシビジョン、対ギャノン大戦レポート(GW公式サイト)