#CHOSEN_ONE 渡邊雄太の4年間

PART 12 2015シーズンオフ、つかの間の帰国

Photo courtesy of George Washington University Athletic Department     

チームとしてダイヤモンドヘッド・クラシック優勝、ポストシーズンのNIT2回戦進出という一定以上の結果を出し、個人としてもチームからの信頼を勝ち取りスターターの座を手にした1年目。その成果を持って、渡邊選手は2015年のオフに一時帰国しました。また、同年5月には、マイク・ロネガンヘッドコーチをはじめとしたジョージ・ワシントン大(以下GW)のスタッフも来日しました。

当時話題になっていたことの1つに、渡邊選手がいる間にGWがチームとして来日し、日本代表やNBL、bjリーグ(ともにBリーグの前身となったバスケットボールのトップリーグ)のトップチームと親善試合をするのではないかというのがありましたが、このチームスタッフ来日は、まさしくこのアイディアを前進させるための視察を大きな目的としていました。この計画は約1年後、GWのジャパンツアーとして実を結びますが、それについては、また追々触れることにします。

東京で我々のインタビューを受けてくれた渡邊選手は、オフといえど非常に引き締まった体つきでした。また、かなり長時間のインタビューだったにも関わらず、落ち着きを失うことなく丁寧な対応を続けてくれたことはありがたかっただけではなく、精神的な成熟度を物語ってもいました。ロネガンHCが同席して英語のやり取りが続いても、コミュニケーションにまったく支障がないことも、とても印象的でした。

ロネガンHCは上級生になる渡邊選手には前シーズン以上の仕事を期待すると言っていましたが、心配は不要と確信できる様子でした。

ついでというわけでもありませんが、渡邊選手は最初の1年間に、GWのプロのようなメディア対応から、この側面についても多くを学んだにちがいありません。

最初に会って以来、変わらぬ謙虚な姿勢を貫いてくれている渡邊選手は、今(2018年9月30日時点)、メンフィス・グリズリーズとの2ウェイコントラクト下で2018-19シーズンのNBAデビューを目指す立場では、地元テネシー州や日本からのメディアから、これまで以上の注目を浴びる存在です。かつてないハイレベルのワークアウトやチーム練習に参加して、コンディションを整えながら、次々と舞い込む取材希望に落ち着いて対応していくにも、強いメンタルが必要です(しかも第2言語の英語での対応が多くなりますし)。その下地もやはりGWで体験できていたと思います。

翌2015-16シーズンは11月7日開幕でしたが、そこまでの間、GW公式サイトやアカウントからはチームのワークアウトの様子、試合日程や新戦力に関する情報が、決め細やかに発信されてきました。1年間を通じて、GW全体のイメージを作り上げるブランディングの中で、ふさわしい対応をしていく体験は、日本の大学でできたかどうか甚だ疑問です。

さて、渡邊選手は帰国中に日本代表合宿にも2年ぶりに参加し、2015-16シーズンの指導に向けワシントンD.C.へと旅立っていきました。このオフ期間中、GWは“コアフォー”と呼ばれた上級生の主力から、キーサン・サベージが転校。逆に、4年生のアレックス・ミトラ(180㎝)と3年生のジェイレン・シナ(188㎝)という2人の転校生を加えました。両選手とも、シュート力のあるガードで、最終的に経験を生かして存在感を残します。

2年生になる渡邊選手が自ら挙げた課題には、シュートの精度向上と、ポストアップやドライブからの、ペイントにおけるフィニッシュがありました。果たしてどんな活躍だったのか、次回以降振り返ります(PART 13に続く)。

 Takeshi Shibata

O-Media/Ocean Basketball Club

 

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